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活動報告

被災地を支援する

2012/09/20

子どもたちの成長を後押しする「みちくさルーム」――NPOパートナー協働事業

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「ピンクのTシャツを着たお姉ちゃんたちがまた来てくれた!」――満面の笑顔とともに元気に走り回る子どもたちは、この日、久しぶりに再会する大学生たちと会い、とてもうれしそうです。

2012年夏、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域の子どもたちを励まそうと、東京から聖心女子大学の学生6人が、岩手県陸前高田市気仙町にやってきました。同大学の学生がこの地域で活動するのは今回で4回目。交流企画の内容は、毎回学生たちが考えて決め、この日は「みんなでボーリング」をテーマに、手作りのピンとレーンを設置しボールで倒したピンの数を競いました。2回投げて全部倒せばお菓子の景品をプレゼントするというルールで、参加した子どもたちは、「お姉ちゃんたちと遊べて楽しい」と大はしゃぎです。他方、参加した学生たちも「子どもたちが楽しんでいる顔を見るのがうれしい。だから何度も通っている」と言います。

東日本大震災発生から1年以上が経ち、被災地でのボランティア活動の数が減少傾向にあるなか、この地域では、ボランティアを通じた子ども支援のプログラムを継続的に実施しています。その仕掛け役は、Civic ForceのNPOパートナー協働事業のパートナーである「P@CT(パクト)」です。P@CTは、陸前高田市米崎町出身・在住で発災直後からボランティアセンターの運営に携わってきた伊藤雅人さんが、「あらゆるものが失われてしまったが、人と人とのつながりを通じて、まちの再建をめざそう」と2011年7月に設立されました。以来、外部から支援に入る人々と、地域内で次代の陸前高田を担う若者とをつなぐ “中間支援団体”として活動を続けています。

特に、まちの将来を担う子どもたちへの支援に力を入れており、今回の大学生たちの企画は、放課後に子どもたちが集まる場として利用してもらおうと始めた「みちくさルーム」のプロジェクトの一環。みちくさルームでは、大学生ボランティアの受け入れコーディネートを通じて、子どもたちに「自分たちも困っている人を見たら寄り添える大人になろう」との心を育んでもらうことをめざしており、そのために、大学生たちと密にコンタクトをとっています。他方、ボランティア学生たちも訪問前後に学内で集まり、準備や反省会を重ねるなど、一期一会のボランティアとしてではなく、被災地の子どもたちに責任を持ってかかわりたい、という意識があるようです。こうした真剣に向き合う姿勢が子どもたちにも伝わっているのか、みちくさルームにやってくる子どもたちの数は、口コミで徐々に増えてきています。

また、P@CTは、陸前高田市で活動する複数の支援団体の連絡調整組織として「陸前高田子ども支援ネットワーク」を設立。地域毎に子どもや保護者、学校それぞれのニーズを把握するため、PTA や教育委員会、児童福祉課と連携し、陸前高田市内の子ども支援を、よりニーズに合った形で実現できるよう努めています。

陸前高田の地域性や風土、住民感情をよく理解した地元ならではの現地コーディネーターとして、今やP@CTは地域でよく知られる存在です。学校やPTA、自治体などから子どもたちの交流イベントやまちおこしの企画など、さまざまな依頼がひっきりなしに寄せられるようになっています。こうしたなか、伊藤さんは「“被災地支援”という名目の活動は今年いっぱいと考えている。被災した子どもたちを支えていくために、今後は地域の発展と子どもたちの成長を長期的な視点でとらえ活動を展開していきたい」と話しています。

なお、Civic ForceとP@CTの協働事業は、2012年8月で一旦終了しましたが、P@CTの挑戦はこれからも続きます。Civic Forceでは、これからもまちの再生や新しいまちづくりに奮闘する地域の主体的な動きをサポートしていきます。

 

 

 

次回はP@CTのもう一つの活動である「エコファーム」について紹介します。