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活動報告

被災地を支援する

企業ボランティア派遣事業

2012/02/22

「ボランティアとのつながりが復興の糸口」――社員ボランティア派遣プログラム (後編)

前回に引き続き、2012年2月から始まった「社員ボランティア派遣プログラム」の第2期の様子について紹介します。2011年7月から続けてきたこのプログラムは、単に作業をするだけでなく、地元の人との交流の場が多く設けられている点に特徴があります。3月11日の震災は、島にどんな被害をもたらし、その後、島の人々はどのように生き抜いて来たのか、島の人々から直接話を聞くなかで、島の人々の思いや復興の難しさを知ります。

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「震災から11カ月が経ちました。その間、何度も心が折れそうになりましたが、全国のたくさんのボランティアの方々とかかわりながら、何とか今日まで生きてきました」。

大島公民館の一室で、こう語りかけるのは、社員ボランティア派遣プログラムの現場作業をコーディネートする地元団体・大島復興チーム「おばか隊」の村上広志隊長です。彼の話を真剣な面持ちで聞くのは、東京や神奈川、静岡、三重などからやってきた4社16人の社員ボランティア。被災した村上さんの話を聞きながら、涙ぐむ人もいます。

2011年3月11日以降、離島のため、支援が遅れ孤立状態にあった大島では、発災直後に災害対策本部を設置し、島の人々が協力して全国からの支援物資配布やボランティアの受け入れ体制を整えてきました。そうした中、村上さんは、島の人々のニーズとボランティアをマッチングさせるための調整役を担ってきた人物の一人として、ほぼ休みなく復興に取り組んできました。「おばか隊」という名称は、「島の復旧のために、まるで“ばか”みたいによく働く若者」との意味を込めて、島の人からそう呼ばれるようになりました。

村上さんとともに、島の復旧・復興に取り組んできた大島災害対策本部の白幡雄児本部長によれば、島民約3,250人のうち、災害による直接の死者行方不明者は31人、その後災害の影響で亡くなったのは6人。生き残った人の多くも数千万円もする船や家を失い、二重ローンを抱えるなど、漁業で生計を立てることをあきらめてしまう人も続出しています。

「厳しい状況の中、まずはボランティアの方々に格安料金で宿泊先を提供し復興を手伝っていただく活動から始めました」と白幡本部長は振り返ります。民宿や旅館など島の宿泊施設の半分ほどは無事だったため、復旧の糸口として、全国からのボランティアを独自に受け入れ、がれき撤去などの作業を進めてきました。

黒潮と親潮がぶつかり、東北地方では珍しい澄んだエメラルドグリーンの海が見られる大島は、それまで多くの観光客が訪れる観光と漁業の島でした。そんな島の将来にとって、今、最も重要なのが、漁業の復旧です。

「部外者であるボランティアが果たせる役割は何か」「漁業復旧のために力になれないか」と生み出されたのが、社員ボランティア派遣プログラムの第2期の活動です。いかだづくりなどを行う漁師さんたちの作業を手伝い、少しでも漁業の復旧を助けようと2月から活動しています。

また、このプログラムでは、単に作業をするだけでなく、地元の人々の話を直接聞く機会を多く設けています。島の状況をより深く理解してもらうため、白幡本部長や村上隊長の講話をはじめ、作業の合間などに地元の漁師さんと話したり、民宿のご主人や女将さんの話を聞く場もあります。

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2月15日から4泊5日の日程で宿泊した『黒潮』のご主人は「震災後たくさんのボランティアを受け入れ、私たち自身もボランティアについて深く考えるようになりました。皆さんとのつながりに助けられ、これからも皆さんとのつながりがあってこそ、島が復旧できると思っています」と話しています。

こうした島の人々の話を聞き、参加者は「被災地に来てこそ分かることがたくさんあった」「ボランティア活動は続けることが大切」など、これからも被災地の復興のためにできることを探していきたいと話していました。

「人間の絆がこれほど見えた年はありませんでした。これから地域の力の差がはっきりしてくる時期。皆さんの力を借りながら、島の住民が力を合わせて住民主導の提案型復興を目指します」と語る白幡本部長。地盤沈下した漁港の修繕や流されてしまった船や家の再建など、今後も課題が山積していますが、「島民一人一人の意識が問われるとき」と復興への決意を新たにしていました。

社員ボランティア派遣プログラムでは、こうした島のニーズに少しでも応えるべく、これからも企業や地元の人々との話し合いを重ね、島の復興に役立つ支援を展開していく予定です。

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※「社員ボランティア派遣プログラム」のこれまでの活動についてはこちら

http://www.civic-force.org/activity/activity-718.php

http://www.civic-force.org/activity/activity-681.php

http://www.civic-force.org/activity/activity-677.php

 
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