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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2012/01/13

被災者一人一人のニーズに向き合う――協働パートナー紹介

前回に引き続き、気仙沼の在宅被災者をサポートする地元団体「気仙沼ボランティアネットワーク聖敬会」とのNPOパートナー協働事業について紹介します。被災者の自宅を訪問する「傾聴活動」をはじめ、「支援申込会」や「日曜児童館」など、被災者のニーズに基づく多様な活動を続けています。

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震災後、気仙沼の被災者を中心に立ち上がった「気仙沼ボランティアネットワーク聖敬会」。活動の軸となるのは、震災直後から続けてきた在宅被災者の訪問です。被災から10カ月が経った今も多くの人が精神的な不安や孤独感を抱える中、在宅被災者の個別訪問を続け、悩みや困りごとを聞き、孤立化防止につなげる「傾聴活動」を行っています。

こうした訪問活動の延長として、7月からは、被災者の方々から生活の状況や必要な支援を聞く「支援申込会」を始めました。これは、復興市のようなイベントの場で支援を必要とする人の声を聞き、自宅への訪問だけでは網羅できない「傾聴活動」の潜在的なニーズをすくい上げることを目的に発案されました。

3月~7月に市内全域を対象に行った際には、合わせて3,000人近い参加者から支援申し込みを受けました。今後は、気仙沼市を中心に月に数回、数カ所で開催していきます。

また、このような在宅被災者の訪問や支援申込会の活動の中で、多数挙がったのが「子どもをあずかってほしい」という声です。その要望に応えるため、聖敬会では、9月から毎週日曜、気仙沼市内の小原木、中井、松岩、大谷、小泉、津谷で「日曜児童館」を運営し、昼食の炊き出しや、“遊ぶこと”と“学ぶこと”を重視したワークショップ、宿題のサポートなどを行っています。聖敬会事務局長の平田洋子さんは、児童館を始めた理由について、「被災地ではたくさんの皆様からの支援をありがたいと思いながらも、マッチングのための対応に追われ、学校や幼稚園、保育園などの支援対象になると思われやすい施設の職員に大きな負担がかかっています。また、遊んでいた場所が津波で流されたり、遊具が撤去されて仮設住宅が建ち並んだり、子どもたちの居場所がなくなったことで、その親たちも疲れ切ってしまっています。このような問題を一つでも解決したいと設立しました」と言います。

このほか聖敬会では、応急仮設と地域コミュニティの構築を目指し、仮設住宅付近の公民館で「おひる食べっぺ!!」を開催しています。たった2人のスタッフで運営するこの企画は、仮設住宅の人々と一緒に昼ご飯を作り、楽しみながら食べる昼食会。参加者数は多いときには15人が集まります。調理作業を設けたことで、参加者の親近感が生まれ、新しい地域コミュニティ構築のサポートにつながっています。

平田さんは、「聖敬会では、気仙沼市民全てが被災者だと考えて活動しています。より多くの声を聞くことで、たくさんの人の“前に進むお手伝い”ができるよう心がけています」と語ります。今後はさらに、就業支援としてパソコン教室や簿記教室なども展開していく予定です。

一人一人のニーズに寄り添いながら、聖敬会の活動はこれからも進化していきます。Civic Forceでは、こうした地元の人々が主体的に行う事業をサポートし、復興に向けた自発的な意思と意欲を後押ししていきます。

聖敬会5.JPG

(子どもを持つ多くの母親がミサンガプロジェクトに参画しています)

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(パッケージされ、事務所に並べられたミサンガ)