災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

活動報告

被災地を支援する

企業ボランティア派遣事業

2011/11/07

"新人研修"として始まった企業ボランティア

前回につづき、9月から宮城県の気仙沼大島で実施している「社員ボランティア派遣プログラム」についてご紹介します。

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日曜に東京を出発し、6日間にわたって瓦礫撤去や写真洗浄などの作業を行う「社員ボランティア派遣プログラム」。より長い時間、被災地に身を置き被災者の方とより深く交流することも特徴の一つです。平日をフルに費やすこのプログラムには、「ボランティア休暇」などの制度を利用して参加する社員がほとんどですが、参加にあたっては、各企業の社会貢献に対する意識の高さや各所属部署の理解などが欠かせません。また、5泊6日という決して短くはない時間を大島で過ごし、島民と対話しながら復興に携わることは、島の人にとっても参加した社員にとっても意義のあることだと、Civic Forceは考えています。

このプログラムの開始にあたっては、3月11日の災害発生直後から富士ゼロックスと社員のボランティア派遣について協議してきました。同社では企業として、支援物資の提供やコピー複合機のNGOへの無償貸与など東日本大震災の支援を続けるとともに、「社内にボランティア文化を形成したい」と、社内の人的リソースの可能性について模索していました。そこで被災地のニーズを把握するCivic Forceと話し合いを重ね、気仙沼大島に社員ボランティアを派遣しようという結論に達したのです。そして7月に、新人研修として瓦礫撤去作業などを実施。研修に参加した約240人の社員たちは、被災地の現実を見て衝撃を受けるとともに復興の一端に携わったことで、ボランティア活動に対する意欲が高まったと言います。

社員のいきいきとした声を聞いた同社担当者は、島の復興の後押しとなるだけでなく、社員のボランティア活動を継続させるため、グローバルコンパクト・ジャパンネットワーク(GC-JN)を通じて他社にも参加の呼びかけを行いました。参加を決めた会社の一つである横浜ゴムでは、社内で参加者を募ったところ、すでに被災地でボランティアを経験した社員もおり、意欲的な参加につながったと言います。

プログラムでは、活動の最後に振り返りの機会を設け、参加した社員に感想を語ってもらっていますが、そこでは「微力だが被災地の復興に少しでも役立てたと思う」「被災地の様子はテレビでしか見たことがなかったが、大島に来て実感が持てた。この経験を周囲の人にも伝えたい」「大島の美しい風景を見て地元の人と触れ合って大島を好きになった。また訪れたい」「復興のためにプログラムを続けてほしい」などの声がありました。

他方、地元の人々からも「こんなに危険なところに来て一生懸命やっていただいてありがたい」という声があがっています。また、ボランティアの宿泊を受け入れている民宿の方も「よそから来た方がこんなにがんばっていただいて、自分たちもやらなきゃという気持ちにさせられる」と言います。また、島の復興の中核組織の一つである大島災害対策本部長は「ここで見たことを帰ってから周りの人に伝えてほしい」と社員に語りかけています。

プログラムを担当するCivic Forceの現地担当者は「このプログラムを継続的に行い、大島の復興に役立てていくにはどうすればいいか、地元の人と話し合いながら考えている。プログラムでは、ボランティア活動以外にも島巡りや島の人の話を聞く機会を設けている。できるだけ多くの人に参加いただき、被災地の復興を考えるきっかけにしていただくことが必要だと考えている。また、できれば、大島を好きになってもらいたい。そうすることで大島のサポーターが増えていけば」と願っています。また、被災者の話を聞くことで、参加者の防災意識が高まり、全国の防災に役立つことも期待しています。

「社員ボランティア派遣プログラム」は、今後、11月まで瓦礫撤去や被災家屋の片付けなどの作業を実施し、12月以降は漁業や観光業などの産業復興に向けた支援が中心となる予定です。また、教育や保健、仮設住宅のさまざまな問題に対応し、多彩なニーズに応えられるよう参加者や企業担当者、地元の方々と共にそれぞれの知恵を出し合い、より良い復興につながるプログラムを策定していきます。

関連動画はこちら→http://www.youtube.com/civicforceorg#p/u/6/jQW9oCUZiqs

 

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(大島災害対策本部長の話を聞く企業ボランティアの方々)

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(5泊6日のプログラムを終え気仙沼港行のフェリーを見送る大島の方々)