災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/09/02

音楽の力を信じて-協働パートナー紹介

Civic Forceは4月から、NPOや任意団体などと「パートナー協働事業」を展開しています。同事業は特定地域にとらわれず、専門性のあるNPOと連携して生活再建支援を行う枠組みです。今回は、Civic Forceのパートナーとして、宮城県や岩手県などで活動を展開するNPO「みんなのことば」(東京都渋谷区)をご紹介します。2011年5月から活動を開始し、2012年1月末まで継続する事業です。

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日本にはたくさんのオーケストラやコンサートホールがあります。海外から来日するオーケストラのコンサートチケットは高額にもかかわらず、すぐに売り切れます。市民アマチュアオーケストラも、学生オーケストラなどを含むと1200以上の団体が存在します。日本にはプロ・アマチュア共に、演奏家がたくさん存在しており、低価格のコンサートが増えています。このように音楽のすそ野は広がっていますが、現実には小さい子どもはコンサート会場に入れない、またコンサートまで足を運ぶことができない環境にある人も多数存在します。

NPOみんなのことばは2009年に立ち上がった団体です。首都圏を中心に、病院や施設で子どもたちや障害のある方々へ、プロの演奏家たちで生演奏を提供するミニコンサートを行っています。

代表の渡辺悠子さんは、もともと音楽プロデューサーとして結婚式やイベントなどで生演奏のBGMを提供する事業を行っていました。その経験の中で、生で音楽を聴くことが、子どもにとって人生が変わるほどの体験となることもある、と実感するようになりました。子どもは感情が豊かになり、「あのお姉さんやお兄さんみたいになりたい」と憧れや夢を持つこともあります。ただ、演奏家を招くにも予算を割くことができる学校や施設は決して多くはありません。

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(2011年7月14日、岩手県山田町の山田高校にて演奏)

渡辺さんは「音楽には、人を笑顔にして元気にし、夢を与える力がある」とし、NPOみんなのことばで、低予算ないしは無料でプロの演奏家によるミニコンサートを届ける活動を実現しました。この活動に賛同する方々の寄付によって集まった「みんなのコンサート」基金を活用して、首都圏で年間20か所程度のミニコンサートを開催しています。

3月11日には都内で地震を体験した渡辺さん。震災直後はどこに行っても街全体に不安な雰囲気が満ちていました。その中で、なじみの曲が流れてきたとき、とてもホッとしたと言います。音楽の力を再認識した渡辺さんは、4月に東京でチャリティコンサートを行いました。その観客の何人かから、ぜひ音楽を被災地に届けてはどうか、という提案を受け、被災地でも役に立てることがある、音楽を必要としている人がいると考えていたところ、Civic Forceとの協働パートナー事業で、被災地の約50か所でミニコンサートを開くことができるようになりました。

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(2011年7月15日、岩手県釜石市の旧釜石第一中学校にて演奏)

次回は、NPOみんなのことばが展開する、被災地での活動についてお伝えします。