災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

活動報告

被災地を支援する

その他

2011/07/13

観光と漁業の間にある産業とは

東日本大震災で被災した地域の多くは漁業と観光が産業の中心でした。震災後、それぞれの産業復興に向けた確かな足取りを進めています。とくに観光にさらに力を入れようとする動きがあります。

気仙沼市観光協会によると、市内にある旅館やホテルの約8割が津波の被害を受けました。無事だった旅館は、一部二次避難をされている方や工事関係者で9月まで予約がとれません。近隣のアパートも被災された方や支援関係者が契約し、空き物件はありません。

一方で、被災地を訪ねるボランティアや観光客が増えています。事務所が被災し、JR気仙沼駅前に拠点を移した市の観光協会には、平日でも約50人の訪問があります。そのうち9割は、被災地をみに来た方々です。宿泊できる場所が少なく、日帰りでの観光がほとんど。Civic Forceのスタッフも車での移動中に、カメラを持ってタクシーで移動する観光客を目にする機会も増えています。

気仙沼市によると、震災前は年間約260万人の観光客がありました。観光の目玉は、豊富で新鮮な魚介類グルメ。唐桑半島や階上地区、気仙沼大島などでは海水浴場や史跡、景勝地などの自然美もウリでした。

気仙沼市のゆるキャラ「ホヤぼーや」も、これからどんどん売り出していこうという矢先でした。2008年に誕生した「ホヤぼーや」。ストラップやキーホルダーのグッズ製作を市社会福祉協議会「松峰園」で、ホヤぼーやサブレを気仙沼菓子組合で行っています。観光協会によると、そろそろピンバッジなど新しいグッズの開発をしようと考えていたところで震災が起こりました。

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(市役所にある手作りホヤぼーや。応援メッセージを募集中。)

気仙沼市ではいち早く漁港が再開し、カツオ漁船を受け入れてきました。再開したとはいえ、水揚げされる量は例年の2割程度。冷蔵施設が稼働していないため、現状では鮮魚出荷用でさばくことができる量までしか受け入れることができません。その一方で漁具の卸業者によると、各漁港の再開の動きを見て、漁船を調達したり、養殖を再開したりなどで、新しく漁具を買う漁師は多く、10月まで注文はいっぱいで忙しいと言うように、漁業の後方支援を担う産業も少しずつではありますが、活気を取り戻している側面もあります。

ただ、養殖業者の中には、既に1年以上前のチリ沖地震で被災し立ち直った直後の震災を経験し、漁業再開に消極的な方や、海の汚染を懸念する方も多くいます。一方で、従来の漁業ではないカタチでの復興や、観光と漁業の組み合わせによる、新しい地域づくりに積極的な地域も出てきています。Civic Forceでは、そのような地域での話し合いを現在も重ねており、近く包括的な支援策を取りまとめる計画です。

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(市社会福祉協議会「松峰園」で作るホヤぼーやキーホルダー)