災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/05/31

5月30日(月)増える被災犬を守るために―協働パートナー紹介

Civc Forceは犬の保護と管理を得意とする任意団体「Save the Dog」(東京都世田谷区)との協働事業で、福島県の原発事故の影響で避難地域とされている南相馬市や浪江町などで、飼い犬の救助と保護活動を行っています。2回の救助活動などで合計22頭の飼い犬を保護することができました。

1回目の救助を行った3月28日には6頭、2回目の4月4日に9頭を保護しました。保護した犬には除染シャンプーを行い、食事の世話、けがの治療を施しました。

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被災地では、犬小屋が壊れていた犬、自力で逃げて野良化した犬など、車で走るたびに犬が見つかりました。鎖につながれていた犬は震災以来3週間、何も食べることができず、ガリガリに痩せていました。岸さんは「中には排泄物が土だけだった犬もいる。土を食べて、水分も土から補給して、何とか生き延びたようだ」と振り返ります。飼い主も2~3日で自宅に帰れると思って、犬をつないだまま避難せざるを得なかったのです。

Civic Force担当者は、被災犬を保護しているドッグライフプランナーズにて、一匹の被災犬ロッキーくんと飼い主が対面するところに立ち会うことができました。「再会できた時は、涙ボロボロでした」。飼い主の男性はこう言います。原発から3.7kmの大熊町に自宅を構えていた飼い主は大熊町では、犬を飼っていた家庭が多かったといいます。避難指示が出た際に一緒に避難しましたが、避難所に受け入れられず、やむなく自宅に置いてきました。飼い主家族自身も、福島から青森に避難し、最近ようやく東京都内の都営住宅に入居することができました。父・母・娘の3人家族にとって、ロッキーくんはまるで息子。「家族の一員」と言い切ります。ペット禁止の新居ですが、今はお互いが近くに暮らしているため、毎週一緒に散歩できます。「はじめは(ロッキーくんの)体重も半分になっていて、よたよたしていました。でも今は、昔のように散歩のとき、私を引っ張ってくれるほど回復しました」と笑みをこぼします。

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(飼い主と再会できたロッキーくん。保護時にあった左足の傷は、ドッグライフプランナーズにて獣医師に治療してもらった)

岸さんは「福島の犬はストレスが少ないからか、どの犬も年齢より若く見える。ロッキーくんは幸せですね。犬は正直で、顔を見ると分かります」と飼い主になつくロッキーくんに目を細めます。同団体ではこれまでに、6頭を飼い主のもとに返すことができました。

飼い主探しには、登録番号や写真をウェブで公表するほか、避難所の掲示板を利用しています。福島の犬はほとんどが庭飼いで、予防注射の登録番号などの鑑札やマイクロチップを身に着けているケースはわずか。飼われていたことのわかる犬や猫を預かる場合には、3ヶ月間の間に元の飼い主が名乗り出なかった際に、はじめて誰かに譲ることが可能になります。里親探しが思うように進められない理由がそこにあります。岸さんは「里親探しをするまでの間や、貰い手が見つからない犬たちを中長期的に保護できる場所が必要」と考えます。

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(保護中に生まれた子犬も。5月14日、エルちゃんは2匹の子犬を出産した。ウェブを介して飼い主は見つかったが、飼い主はペット禁止の住居へ避難中。エルちゃんは住民避難が始まったころに妊娠したようだ、とのこと。一時的に野良化した犬も多かったため、こうしたケースは多いと言う) 

同団体では、飼い主から飼育放棄の連絡があった犬については、里親探しのために譲渡会を開きました。2回の開催で100人以上が立ち寄り、たくさんの方から里親の応募がありました。広々とした環境の福島から庭が狭く車の多い首都圏へと、犬にとって生活環境が大きく変わるため、入念に引き取り条件をすり合わせます。譲渡会でのお見合いから、お試し期間を経て、晴れて新しい家族のもとへ引っ越しとなります。2頭の被災犬がトライアル同居を始めています。3か月の保護期間を経て、今後は里親探しも活発になると考えます。

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(住宅展示場に併設した譲渡会。たくさんの人が訪れている)

犬の保護や管理のプロであるSave the DogとCivic Forceの協働事業で救われるペットの命。ペットを飼う家族の心配を取り除くことも、大きな被災地支援です。