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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/05/23

5月20日(金)ゾウさんで復興を―協働パートナー紹介

Civic Forceは4月から、NPOなど7団体と「パートナー協働事業」を展開しています。同事業は特定地域にとらわれず、専門性のあるNPOと連携して生活再建支援を行う枠組みです。5/13から5/16にかけて、Civic Forceのスタッフが、外部シンクタンクの学識者とともに、いくつかの団体の現地モニタリング調査を行いました。

今回は、Civic Forceのパートナーとして、岩手県遠野市を拠点に釜石市や大船渡市など岩手県沿岸地域の被災地で支援活動を展開する「被災地NGO恊働センター(兵庫県神戸市)」をご紹介します。

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死者6434人、行方不明者3人の被害をもたらした阪神・淡路大震災。震災から1カ月間は毎日約2万人のボランティアが被災地に集まり、1年間でのべ138万人のボランティアが支援活動しました。

震災当時、被災地NGO恊働センターの村井雅清代表は、神戸市長田区でオーダーメードの靴を手掛ける職人でした。震災直後、兵庫区の保育園を拠点に、壊れた自宅にいる高齢者や障害者、小規模避難所の支援活動を開始。行政の援助が届かない人々に着目して、独自の活動を展開しました。

阪神・淡路大震災では、仮設住宅での生活が長引いたことに加えて、地域コミュニティが希薄なため隣人の異変に気付きにくく、過度のストレスから引き起こす疾病で身動きが取れないまま死亡する「孤独死」が多発しました。再建した住宅や災害復興住宅など住まいを確保しても、新たなコミュニティが形成されず、心にぽっかり穴が開いたような状況が長引きました。

震災から一人でも多く、最後の一人まで生き残ってほしい。村井代表はそう願いながら活動を展開するうちに、生きていくうえで、人とひととの「支えあい」や「つながり」が不可欠だと再確認しました。お互いに支えあえる関係があって、初めて自立ができると分かったのです。それが恊働センターの主力事業である「まけないぞう」誕生のきっかけです。

「まけないぞう」は一本のタオルから作った、ゾウの形をした壁掛けタオル。「まけないぞう」作りを通じて、家や仕事を失った被災者が働く喜びを取り戻すことができれば、という思いが込められています。被災者のために何かしたいという人からは、全国から材料となる新品タオルを募ります。「まけないぞう」は一頭400円で販売し、そのうち、100円が製作者に支払われます。

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(壁掛けタオル「まけないぞう」は、全国からの寄付で集まったタオルで作られる)

仲間と一緒に手を動かしながら、ひと時でも震災のことや将来への不安を忘れて、わずかでも生活の糧を得ることができる。そんな支援活動を通じて、阪神・淡路大震災の被災者は復興までの長い道のりを乗り切ったといいます。新潟県中越地震の被災地でも取り組みました。現在は東日本大震災の被災地である岩手や避難所のある栃木、山形でも取り組みが始まっています。「震災に負けない」。その決意を胸に、各被災地で「まけないぞう」づくりの環が広がっています。支えあう支援の象徴であるゾウは、同センターのシンボルになっています。

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岩手県大槌町 にて、避難所で「まけないぞう」づくり)

恊働センターは神戸で得た経験を糧に、国内外の被災地へ支援を展開してきました。「被災の痛みを知る者だからこそ果たせる責任。支えられる側にいたものが、支える側にまわる必要がある」。東日本大震災では「まけないぞう」の展開に限らず、ボランティア団体や被災者がどんどん主体的に活動にかかわれるような場所づくりを展開しています。 

具体的な支援内容については、23日の活動報告として明日ご報告します。