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活動報告

被災地を支援する

熊本地震支援事業

2017/03/07

【熊本地震】保育と防災、考えるシンポ開催 ーNPOパートナー協働事業

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多くの人々が不安と恐怖を感じた熊本地震。特に、子どもを持つ親や保育士など子どもを守る立場にある人々にとって、地震は多くの教訓を残す経験となりました。発災から約10カ月後の2017年2月26日、保育の視点から熊本地震を振り返るシンポジウムが、尚絅(しょうけい)大学九品寺キャンパス(熊本市)で開催され、県内外から約100人が足を運びました。主催は、Civic Force「NPOパートナー協働事業」のパートナー「熊本子ども・女性支援ネット」です。

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避難者を自主的に受け入れた保育園

今回のシンポジウムでは、「『質の高い保育』こそが一番の防災になる〜あそびをつくる、新しい社会的子育てにむけて」をテーマに、どんな時でも子どもが笑顔でいられるような避難所のあり方や、これからの保育について、実践者の声を交えて語り合いました。

「熊本地震から気づいた“保育”の意義−避難所として機能する保育園」と題して実施された第一部では、まず熊本市東区にあるさくらんぼ保育園の建川美徳園長が登壇。発災後、園舎が無事だったことから民間の避難所として解放し、数カ月間、近隣住民を受け入れ炊き出し支援などを続けてきた経験を共有しました。

また、さくらんぼ保育園と同じように避難所を自主的に運営したやまなみこども園(熊本市)の保育士、山並啓さんは「最初は地震の恐怖で動けなかった」と告白。しかし、園の若手保育士の勇敢さに救われ、以降ガスが止まっている間、薪で火をおこして避難者へ食事を提供したり、ドラム缶風呂を沸かすなど、さまざまな問題にぶつかりながらもスタッフ間で協力してきた経緯を話しました。また、地震を経験した子どもたちの成長や歌の力の偉大さにも触れ、日頃から大切にしている保育のあり方を非常時にこそ実践する意義を語りました。

 

災害時に見落とされがちな保育現場への支援

こうした保育園や幼稚園などの自主的な避難所運営の活動について、「社会的に大きな役割を果たした」と評価するのは、シンポジウムでコーディネーターを務めた日本福祉大学の塩崎美穂准教授です。

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保育の現場に精通する塩崎准教授は、地震発生直後に被災地の保育園をまわって多くの園が園舎を解放してきた実態を調査しました。その結果を踏まえ、熊本地震を含めこれまでの大規模災害では、医師や看護師の派遣など医療・保健面での支援に比べて保育園へのサポートは見落とされがちだったと指摘します。

そして、被災地の外から経験者を派遣して保育の現場を支える仕組みを構築しようと、2016年9月からKCWとともに「社会的保育実践者派遣プロジェクト」を開始。地震から5か月後の9月から12月、18人のベテラン保育士を計54日間、熊本各地の保育園に派遣しました。このなかで塩崎准教授は、専門的知見から被災地の受入園とその園に適した保育者派遣のマッチングに重要な役割を果たしました。

「“質の高い保育”とは“自由な保育”ではなく“自由への保育”である」。こう強調する塩崎准教授に対し、会場からは多くの質問が寄せられました。

 

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熊本子ども女性支援ネット×Civic Force

被災地の中長期的な復興を後押しするCivic Forceの「NPOパートナー協働事業」第1期では、被災した女性・子どもたちの心のケアや関係団体のネットワークづくりに尽力する「熊本子ども女性支援ネット」をサポート。続く第2期では、被災地近隣の市町村や他県からベテラン保育士を派遣して新人保育士などを支援する「社会的保育実践者派遣プロジェクト」を行い、保育現場の混乱を最小限に抑え、不安定な子どもたちや家庭の回復を後押ししています。