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緑の環プロジェクト ~持続可能な林業と木質バイオマス活用を通じて地域活性化

全国に先がけて過疎化・高齢化が進む東北の被災地では、林業の担い手が減り、里山の手入れが行き届かなくなっています。一方、原発事故をきっかけに自然エネルギーが見直されるなか、被災地の復興まちづくりにおいて、エネルギーの「地産地消」を目指す取り組みに注目が集まっています。

この事業は、持ち山などから木を切り出して収入を得る個人の林業者を育成するとともに、建材にならない間伐材などを加工したバイオマス(有機性のエネルギー資源)燃料を普及させることで、新たな雇用・就業の場の創出と、荒れた里山の再生を目指します。需要と供給を結びつけ、山が生み出す富を地域内で循環させ、有効に活用しようという試みです。

具体的には、山林の所有者や、副業的に林業を始めようとする住民向けの講習会を開いたり、トラックやチェーンソーなどを提供したりして、林業への新規参入を支援します。切り出した木を集める木材集積場を設け、間伐材などを買い支えるとともに、薪やペレットなどの木質バイオマス燃料に加工します。需要サイドでは、高台への集団移転に向けた話し合いが進む気仙沼市の集落などを中心に、新しい住宅の暖房・給湯器具としてペレットボイラーや薪ストーブが普及するよう促す計画です。

この事業は、パートナー協働事業でも連携した実績があるNPOなど、自然エネルギーの普及と林業の再生に取り組む多くの企業・団体と協力して進めています。津波で被災した沿岸部が木材の供給や消費の場となり、内陸の山間部が集積・加工の場となれば、資源の循環を通じて山と海との支え合いを強めることにもつながります。

気仙沼地域エネルギー開発株式会社 代表取締役 高橋正樹さん

気仙沼地域エネルギー開発
株式会社
代表取締役 高橋正樹さん

地域再生への新しい挑戦
長年、宮城県の気仙沼を中心に地域のエネルギー供給事業に携わってきた立場から、また祖父の代で終わってしまった"林業"の課題ともう一度向き合うため、震災後に「気仙沼地域エネルギー開発株式会社」を立ち上げました。再生可能エネルギー利用の重要性が高まるなか、これを真に自立的な地域づくりにつなげるためには、住民参画のもと、地域資源を最大限に活用し、経済効果が域内で循環するように進めていくことが必要です。林業と密接にかかわり継続的な燃料供給につながる「木質バイオマス」の普及事業は、復興の枠にとどまらない、地域再生への新しい挑戦だと自負しています。
こうした観点から、気仙沼市より「緑の分権改革」被災地復興モデル実証調査の委託を受け、地域の自給力と「創富力」を高める事業を推進しています。まずは、木質バイオマスエネルギーの利用・普及拡大を目指し、木材の供給体制の強化に取り組んでいます。
木を切る人、加工する人、消費する人など、地域内の多くの人が森とかかわることで豊かになれる好循環の仕組みを作り上げるには、まだ課題が山積みです。そうした中、Civic Forceはこの事業の意義を理解し、地域内外のネットワークを生かしつつ、政府や他団体では手が出しにくい初期投資の部分で支援を決めてくれました。新しいことに挑戦する恐さもありますが、それ以上にこの上ない使命感を持って取り組んでいます。

しんりん 代表 大場隆博さん

しんりん
代表 大場隆博さん

"裏山"からエネルギーを
これまでの林業は、高性能の機械を使って一面に伐採する「皆伐」の手法が主流でした。この手法のみでは手入れが行き届かず山は荒れるし、機械によって生み出される雇用も限定的です。私たちが目指すのは、山の持ち主や地元の住民が少しずつ自分で切る(副業型自伐林業)という、新しい林業のモデルです。山仕事にかかわる人が増えれば、豊かな里山がよみがえります。
被災地の復興では、地元の資源を使って循環する暮らしをつくることが大切です。昔ながらの「半漁半林」が、この地域にふさわしいのです。エネルギーも海外から輸入するより、裏山から手に入れる方がはるかに理にかなっている。今まで無駄にしていた間伐材を資源として活用することで、地域の外へお金が流れるのを防ぐことができます。
こうした考えに早くから賛同してくれたのが、Civic Forceです。NPOパートナー協働事業として、「手のひらに太陽の家プロジェクト」をサポートしていただき、それがこのエネルギー改革の話につながっています。林業を含む産業は、すべて物語だと私は思います。物語こそがブランドになり、新たな価値を生み出します。それがなければ、厳しい価格競争にさらされるだけです。「副業型自伐林業」は林業の新しい物語になると私は信じています。
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