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被災地を支援する

2016/10/27

【熊本地震】西原村を支えるボランティアの力ー被災地NGO恊働センター2

Civic Forceは熊本地震の被害にあった地域の復旧・復興をサポートするため、2016年6月から熊本で「パートナー協働事業」を実施しています。東日本大震災を機に生まれたこの事業は、緊急支援では行き届かなかったニーズに広く対応するための仕組みで、現在、熊本では3団体とのプロジェクトが進行中です。今回は、東日本大震災以前から連携してきた「被災地NGO恊働センター」の熊本での取り組みを紹介します。

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全国からやってくるボランティアの調整役として

CYMERA_20161022_111711.jpg阿蘇熊本空港から車で約15分。10月下旬の週末朝、熊本市と阿蘇外輪山の中間に位置する西原村の公民館に、周辺地域から50人ほどが集まってきました。

車や徒歩でやってきた地域の人々を待ち構えているのは、福岡からバスで約2時間かけて西原村を訪れた西南学院大学の学生10人です。公民館の一室にビニールのシートを敷いて複数の椅子を並べ、暖かいお湯を入れたタライとタオルを用意して、「足湯どうですか」と声をかけます。

「震災で大きな被害を受けた西原村の人々はどんな思いでいるのだろう」「被災して大変な目にあった人が少しでもゆっくりした気持ちになってくれれば」。そんな思いを持った学生たちが手を挙げ、足湯を通じて、世間話などをしながら被災した人々の声に耳を傾けます。

また、この日は、足湯と合わせて陶器市も行われ、公民館には茶碗やコーヒーカップ、小皿など軽トラック1台分にも及ぶたくさんの食器類が並びました。それらを手に取りながら、地域の人々と学生が言葉を交わす場面も。「若い人が来てくれてうれしい。短くても楽しい時間を過ごすことができて、またこういう催しをやってほしい」と話す年配女性もいました。

同大学の学生たちが、西原村に通い始めたのは夏休みが始まった7月から。足湯ボランティアだけでなく、これまでに広場の花壇に花を植えたり、縁日の準備を手伝うなど、複数の学生が様々なボランティア活動を担い、西原村の人々と顔なじみになった学生もいるようです。

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西原村には、週末を中心に彼らのような学生や社会人ボランティアがたびたび訪れます。ボランティアの活動内容は、壊れた家屋の片付けをはじめ、足湯や緑化活動、農業被害を受けた農家の修復や野菜植付けの手伝いのほか、専門技術を持つ大工ボランティアによる家屋の解体作業など多岐にわたります。

そして、ボランティアの受け入れを担っているのが、西原村の災害ボランティアセンターです。センターには、自治体職員や各区の関係者などのほか、県外のNPOもスタッフとして関わっています。Civic Forceのパートナー、被災地NGO恊働センターも発災直後から西原村に入り、ボランティアのコーディネート役として、地域の救済と復旧に尽力してきました。

 

被災後の新しい地域づくりに向けて

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西原村は、山林や原野が広がる緑豊かな地域ですが、4月16日の本震で村全体が被害にあいました。発災後には、村の人口の4分の1にあたる1800人以上が避難。主要道路が寸断されて外部からの支援がほとんど入れず、一時孤立状態に陥りました。

しかし、もともと地域のつながりが強く地震を想定した訓練も実施されていたことから、350棟近くの家屋が全壊したにもかかわらず、死者は5人に抑えられました。ある集落では下敷きになった数人をチェーンソーなどを使って救出した事例もあり、地域の人たちが互いに助け合ったそうです。

「発災からしばらくは、みんな次々と湧いてくる目の前の課題に対処するのに必死で、がむしゃらに走ってきた」。こう話すのは、西原村ボランティアセンターの一員として活動してきた被災地NGO恊働センターの頼政良太さん。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに生まれた被災地NGO恊働センターは、これまで国内の様々な災害でいち早く被災地に駆けつけ、中長期的な復興を見据えた支援を展開してきました。今回の熊本地震では、支援団体やボランティアが入りにくい地理的条件などを鑑み、西原村を拠点に活動を開始。村の災害ボランティアセンターや農業復興ボランティアセンター、地元の有志団体などとともに、ボランティアの受け入れ・派遣のコーディネート役を務めています。

また、大きな被害を受けた西原村では今、住み慣れた場所での生活が難しくなった住民たちが、集落に残るのか、集団で移転するのかについて話し合いを重ねています。仮設住宅が解体された後の町の再建について、震災前よりさらに元気な町をつくっていけるよう、今から考え、協議しながら結束力を高めていくことが必要です。

そこで、被災地NGO恊働センターは、各地区の意向を尊重した上で集落の再生を図るため、 地元で生まれた団体「わかば meeting」 が主催する定期会合のサポートを通じて、 移転先の新しい地域づくりの後押しをしています。 また、 住民向けのフリーペーパー『DOGYAN (どぎゃん)』 を発行し、地域の魅力を再発見できるような情報を発信。保健師や理学療法士と連携して仮設住宅に手すりを設置したり、生活再建支援金の制度や公費解体の制度などについて、中越地震の経験を持つ研究者などを交えて意見交換や個別相談の機会も提供しています。

Civic ForceのNPOパートナー協働事業では、住民の声を拾いながらきめ細やかな復旧支援を続ける被災地NGO恊働センターの運営をサポートしています。