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活動報告

被災地を支援する

東日本大震災支援事業

2012/03/22

物資支援から自立支援へ――協働パートナー紹介

前回に引き続き、Civic Forceのパートナー「ピースジャム」の活動について紹介します。震災直後、赤ちゃんにミルクやオムツを届けることから始まったピースジャムの活動は今、育児と母親の就業の両立を目指す自立支援活動へと発展しています。被災した母親たちが手がける野菜ジャムづくりは、復興の先駆的なモデルにもなりうる事業として被災地内外から期待されています。

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「これからの育児が不安」「子育てしながら働ける環境がほしい」――震災発生後、赤ちゃんにミルクやオムツを届ける活動を続けてきたピースジャムの佐藤賢さんは、乳幼児を抱える母親から、こんな声を頻繁に聞くようになりました。特に、沿岸被災地では震災から半年以上が経過しても津波の影響で働く場所が失われたままです。佐藤さんによれば、母親たちの多くは、高い労働意欲を持っていますが、働く場所がなかったり、子どもを預ける施設が被災して外出できず、収入の不安を抱えていると言います。被災世帯の中には、夫が亡くなり母親が生計を立てていかなくてはならない家庭や共働きが必要な家庭も存在するため、被災地での就業機会確保は喫緊の課題です。

JAM.jpgそうした切実な声を聞き、ピースジャムは、2011年10月、母親たちに就業の機会を提供する支援活動を開始しました。具体的には、手作り野菜ジャム「ピースジャム」の製造と販売です。ベルギー在住の薬膳料理家の協力を得て、オリジナルのレシピを用意し、それをもとに気仙沼市と陸前高田市に住む主婦がニンジンとオニオン、トマトの3種類のジャムを作っています。材料となる野菜は、宮城県内で減農薬の野菜作りに取り組む農家から仕入れ、売り上げの一部は、主婦たちの給料として支払われる仕組みです。県外スタッフや東京都内の協力者と連携し、東京・銀座にある「東日本復興応援プラザ」や気仙沼市の市場、インターネットなどで販売し、最近では、口コミやメディアを通じて全国各地のイベントでも販売されています。

順調に販路を拡大し、ジャムの売り上げは、今年3月には1万個を達成する見込みです。他方、今後の課題は、より魅力的な商品を安定的に生産していく体制を整備すること。

そこでCivic ForceのNPOパートナー協働事業では、ピースジャムの事業を持続的に発展させるための施策を提案・サポートしています。具体的には、まず製造コストの大部分をCivic Forceが負担し、すでに就業している母親7 人の賃金アップを図ります。そして、安全やリスク管理の意識を向上させ、「食品衛生責任者」の資格を取得するなど、事業の安定化と、将来、同じように子どもを抱える母親たちを引っ張っていけるリーダーの育成を目指します。

さらに、母親たちが「働く場」には託児機能を併設させ、安心して働ける環境を提供しています。

また、これまでピースジャムが支援物資を提供してきた200世帯以上の母親にも呼びかけ、ジャムづくりに関する講習会やコミュニティカフェを開催しています。「就業機会の提供だけでなく、母親たちのコミュニティづくりの場をつくることで、母親が元気になり、子どもの成長とまちの復興にもつながれば」と佐藤さんは話しています。

syusyu.jpgこのほか最近では、ジャム作りだけでなく、髪飾りのシュシュやよだれかけ、エコバックなどの製作・販売も開始したピースジャム。企業などからの支援により、2012年夏には、ジャムと縫製のための共同作業場の建設が完工する予定です。

Civic Forceは、ピースジャムのように地元の人々の主体的な動きをサポートする活動に力を入れています。そして、パートナー事業終了後も持続的に事業を継続し、人々の自立につながるよう、地域に密着しながら今後もさまざまな施策を提案していきます。

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