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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2011/08/26

自主避難者たちの苦労―協働パートナー紹介

Civic Forceは4月から、NPOや任意団体などと「パートナー協働事業」を展開しています。同事業は特定地域にとらわれず、専門性のあるNPOと連携して生活再建支援を行う枠組みです。今回は、Civic Forceのパートナーとして、福島県から山形県に非難してくる自主避難者を支援する「生活クラブやまがた生活協同組合(山形県米沢市)」をご紹介します。

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「米沢の人はみんな優しいの」

8月上旬。山形県米沢市で開かれたお祭りに招かれたのは、福島県南相馬市や浪江町などから自主避難をしてきた方たち。地元の人と避難してきた人とが、青空の下で一緒にご飯を食べて談笑する。自宅へ帰るめどが一向に立たない福島沿岸部から避難してきた方々が、不安な日々からひと時、解放される瞬間でした。

7月28日現在、山形県内には10,000人以上が避難しています。宮城県からの避難者が減少傾向にある一方、福島県からの避難者がほとんど。うち、福島県と隣接し、福島市から車で1時間程度の距離に位置する米沢市には約3,300人以上の自主避難者が暮らしています。そのうち、約700人以上が南相馬市からの避難してきた方々です。

3月11日の津波は、福島県沿岸部の都市と東京電力の福島第一・第二原子力発電所を襲いました。南相馬市は、一部が福島第一原発から20キロ圏内の計画的避難区域、また30キロ圏内の「緊急時避難準備区域」に指定されています。同市では多くの市民が自主避難し、その後、基本的に全市民に対して市外への避難を勧めました。また市では、群馬県や新潟県などへバスでの集団避難も呼びかけました。その結果、約71,500人(2011年2月末時点)だった人口も、一時は1万人強にまで減少しました。

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(美しい公園が見る影もない)

今では、市内で計測している放射線の測定値が下がり安定していることと、ほぼ市内全域で電気・水道が使えることもあり、避難先から南相馬市へ戻る市民が増えているという市の発表がある一方で、夏休みに入り、子どもを連れた親子が「夏休みの間だけでも」と再び自主避難をするケースが増えていると聞きます。

地震直後、最低限の身支度で福島県沿岸部にある自宅を後にして、ガソリンがあるだけ車を走らせた結果、米沢市にたどり着いた方も多数います。福島からの避難者の特徴は、自主避難ゆえに、もともと住んでいた地域がバラバラなこと。集団避難であれば自治体ごとにまとまって避難するために、行政も実態を把握しやすいですが、対して自主避難者は家族単位で動いているため、届け出などの申告がない限り、外部からは実態がつかみにくい状態です。国や自治体、東京電力などからの補償に備えて住民票はそのままでの転居のため、実態把握の難しさはなおさらです。自主避難者からは生活支援もさることながら、情報や相談できる誰かの存在が求められていました。

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(米沢市の避難所の様子)

米沢市では地元コミュニティセンターの中に、避難者支援センター「おいで」を設置し、情報収集や交流の場所を作りました。米沢市に臨時雇用された南相馬市住民が運営する「おいで」には、南相馬市から派遣された職員が駐在。福島の地元紙や市の広報誌、放射線に関する資料などにアクセスすることができます。また、「おいで」では、健康チェックや福島県職員による相談会が受けられるほか、地元の支援団体によるイベント情報などが集まります。

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(避難者支援センター「おいで」事務所。米沢市に臨時雇用された避難者や南相馬市職員が活動している)

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次回は、福島からの自主避難者をサポートしている生活クラブやまがた生活協同組合の活動を紹介します。