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活動報告

被災地を支援する

産業復興支援事業

2011/07/25

マイナスからの出発―2重ローンや補償制度の現実

本日(7/25)、2011年度第2次補正予算案が参院本会議で採決、成立する見込みです。総額1兆9988億円の2次補正予算案には、東京電力福島第1原発事故の賠償負担のほか、被災地の2重ローン対策や被災地での資金需要に対応するための復旧・復興予備費などが盛り込まれています。当初見込みに比べて小規模になり、復興に関する大規模な施策予算は成立時期のめどが立っていない第3次補正予算に回されることとなります。

2重ローンとは、もともとあったローンの支払いに加えて、災害からの再建・復興のために新たな借金を重ねて、返済負担が極端に重くなる問題です。阪神大震災の被災者の中には今も二重ローンに苦しんでいたり、負担が重すぎて自己破産したりした例もあるそうです。

気仙沼商工会議所によると、本吉・唐桑地区を除く市内で加盟していた1700弱の会員数は、震災後で1500を割りました。廃業や事業の休止に追い込まれた事業者が商工会議所を退会していますが、その数は今後も増える見通しです。売上高10億円以上の企業の多くは2重ローンを抱えており、銀行や金融機関との間でどのような支援が打ち出せるかを議論しています。予算が成立しても、その規模や枠組みでどのように活用できるかなど具体的な支援取り組み開始には時間がかかりそうです。

ようやく動き出した行政による産業支援。その対応の遅さにしびれをきたす事業者もあります。

建築制限があるために家屋や工場再建の許可が下りない中、建築制限をかけていない岩手県陸前高田市に工場を移転する水産加工メーカーがあります。早く操業再開したい力のある事業者が市外に移転する動きが加速すれば、ますます地域の産業復興が遅れを取るという懸念が日に日に増しています。

一方、小規模事業主も動き出しています。産業支援と言えば、漁業や農業に関する補償の話題が主で、サービス業への支援事業はあまり聞こえてきません。気仙沼の食堂や商店などの多くは、漁師や水産加工会社が主要な取引先。漁業の復活無くして従来の活気は取り戻せないと言う一方で、いち早く被災地で活動する土木業者やボランティアを対象にお弁当やランチの提供を始めたお店もあります。

JR気仙沼駅前の商店街は、震災以前はシャッターを下ろしたままの店舗が多いシャッター商店街でしたが、最近は被害の大きいJR南気仙沼駅周辺や市魚市場で事業を営んでいた方々が移転し、事業再開する動きがあります。これまで魚市場周辺でお弁当を販売してきた女性は、お弁当販売とランチを提供するカフェを市役所近くにオープンしました。今回の震災では、仮店舗で商売をしていた方々には店舗に関する義援金は出ないと聞きます。店舗を貸していた大家さんも同様に災害補償はないとのこと。ですが、もともと飲食店が少なかった市内では、土木業者や地元の人々でコンビニが大盛況。飲食店のニーズは高く、自力で再開に踏み切ったそうです。
商店街にあった空き店舗や空き家はすべて埋まっており、見た目にも駅前商店街はにぎやかになったと感じます。

Civic Forceではこのような地域の産業復興を後押しし、3年~5年の間全力で地域の振興を支え、応援する「基金」を立ち上げる準備をしているところです。新たな基金では、行政の支援が行き届かず、従来の金融機関も支援しない、新しいコミュニティ創造ビジネスを、資本性のある資金と専門性のある経営サポートチームをつけて応援していく考えです。


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(気仙沼市のエースポートから鹿折地区を望む)