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2011/07/11

被災地でのまちづくりに動き出す市民たち

被災した自治体では新たなまちづくりプランとなる復興計画の策定にあたり、市民から意見を聞いています。気仙沼市でも大学教授の学識者や行政の関係者で組織する「市震災復興会議」のほか、地元市民11人が中心に意見を出し合う「気仙沼市震災復興市民委員会」が6月から開催されています。7月9日に開催された第3回市民委員会をCivic Forceのスタッフが傍聴してきました。市民委員会ではこれまでに、復興ビジョンや意見集約の手法について議論してきました。この場でまとめられた意見は提言として、復興会議に提出する見込みです。

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(気仙沼市震災復興市民委員会で話す加藤副市長)

第3回委員会では、主に被災地の土地利用や住まいの再建について議論がされました。津波被害のあった気仙沼市の市街地は9月まで建築制限区域に指定されており、住宅や工場などの新築や増築、改築などが制限されています。会議では制限が解除されてすぐに都市計画に着手できるよう準備を進めています。市街地ではこれまで、工業地域や商業地域、住居地域など建物の用途を定める用途地域が区分されて、街が発展してきました。しかし、高齢化が進み人口減少する今後もその方針でいいのか、主要産業である漁業を売りに観光開発できないのか、そして、また津波が襲ってきても安全なのかなど、そもそもの都市計画のあり方を見直す機会として、会議や委員会は議論を重ねる考えです。

建築制限や第三次補正予算などで国の方針が定まらないうち、つまりは予算の裏付けがない間には、自治体もなかなか動くことができません。

そのような中、気仙沼市唐桑町の舞根地区では、地区内の高台への集団移転を目的に、国の防災集団移転促進事業に手をあげました。52世帯が集まる同地区では、44世帯が津波により家を失いました。コミュニティを消滅させることなく安全な高台へ集団移転できるように、と住民は3月下旬から同事業の活用を行政に訴えています。4月下旬にも家屋流失を免れた8世帯を含む計30世帯が「防災集団移転促進事業期成同盟会」を結成し、5月にメンバーが新潟県中越地震で集団移転した長岡市の3地区を視察。市に対して要望書を提出しました。

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(舞根地区前の湾は、地盤沈下で大潮のときには道路まで浸水する)

唐桑町では建築制限の指定はありませんが、集団移転には行政の許可はもちろん、支援が不可欠です。同事業では、団地造成費や移転経費などの大部分は国が補助してくれますが、実施主体となる自治体の負担も小さくありません。唐桑町の大沢地区や気仙沼市本吉地区でも同様の集団移転について議論されていますが、移住候補地の選定のほか、新天地での雇用確保や新しい街のコンセプト設定など、検討すべき課題は山積みです。

Civic Forceでは新しいコミュニティづくりに関与し、復興にむけて活動していきます。現在も唐桑町においても地元関係者との地域創造の動きをともにしており、近日中に発表できる見通しです。