災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

活動報告

被災地を支援する

多目的・稼働型拠点提供事業

2011/06/21

仮設住宅入居前夜

気仙沼市大島では22日、仮設住宅入居者に対する市の説明会が実施されます。現在、大島では、一次避難所である大島開発総合センターに26人、二次避難所である旅館など宿泊施設に182人が避難生活を強いられています。それらを受けて、大島中学校校庭に35戸、国民休暇村の広場に28戸の仮設住宅の建設が完了しており、島南部の新王平グラウンドで25戸の建設が進んでいます。22日の説明会では、完成した63戸について入居希望者に部屋の鍵が手渡され、入居できるようになります。

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(国民休暇村の広場に建てられた仮設住宅)

仮設住宅に対して入居希望者が抽選になるケースが多々ありましたが、大島では希望者全員が入居することができる予定です。ただ、被災者全員が今回の募集に応募したわけでもありません。気仙沼市内の仮設住宅を希望した方や、今回の入居者選考の締め切りまでに決心がつかなかった人、情報不足で申し込みができなかった人などもいます。災害対策本部としては説明会以降、仮設住宅に入居できなかった方々への対応を行う方針です。その一環で、仮設住宅に入居できなかった方への住居空間として、島ではCivic Forceで提供したトレーラーハウスの利用を検討しています。

仮設住宅での新しい生活が始まる際にいくつかの懸念があります。食材や生活用品など日々の買い物が難しい場所に立地する仮設住宅があることです。

大島では、いくつかの商店が早くから再開しました。停電時や島民の足であるカーフェリーがない時は、支援物資は重宝されました。今では、津波被害のない場所では普通に買い物ができ、気仙沼市内まで買い物に行く人も少なくありません。人口約3000人の大島ですが、もともと震災前には、一日あたり1000人近くの人が気仙沼市内へ仕事や買い物に出かけていました。特に仕事がある人は大島側に1台、気仙沼側に1台と、一人で2台の車を保有していましたが、今回の津波被害で、2台とも車が流されてしまった人もいます。車を失った人々にとっては、買い物も難しい状況です。

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(支援物資を載せて5月半ばに福岡県から駆け付けた軽トラが、大島で活躍していました)

起伏の激しい地形の大島も、仮設住宅の建設場所を選ぶのは大変でした。まとまった土地を確保できましたが、大島中学校校庭の仮設住宅以外は、商店などのある生活圏から若干離れており、新しい住居と同様に新しい商店を求める声も出ています。商店を経営していて津波被害で店舗を無くした方が、支援によって提供された移動販売車を使って営業を再開している自治体もあります。

仮設住宅に移った後、自立した生活が送れるかの不安もあります。船や養殖いかだを失った漁師など仕事を失った方がどのように収入を得ていくのか。産業復興の必要性が日に日に増しています。

Civic Forceでは産業復興支援に向けての調査と調整を進めると並行して、トレーラーハウスに続き、コンテナハウスを大島に提供する準備を進めています。コンテナハウスは住居としてだけでなく、仮設住宅地区の公民館やグループホームなどの老人施設、店舗などに使うことができるのではないかとのアイディアをいただいており、導入に向けて現地と調整を進めています。