災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

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2011/05/26

5月25日(水)被災地の住宅事情

震災による宮城県内の住宅の全壊は5/25現在、約69,000戸にのぼります。
自治体ではこれまで、交通、電力等の復旧を早急に進めるために道路上のがれき処理を最優先で進めてきましたが、その撤去後は私有地内のがれきの撤去に取り組むこととしています。例えば、気仙沼市では、「家屋が倒壊してがれき状態になっている場合は所有者の特定が難しいため個々に連絡しない、被災した家屋が一定の原形をとどめている場合は、建物の所有者等の関係者に連絡の上、意向を聞いた上で解体・撤去または存置をする」といった私有地内のがれき撤去の方針を定めました。
また、国も、先日取りまとめた「東日本大震災に係る被災地における生活の平常化に向けた当面の取組方針」の中で、がれきを「本年8月末をめどにおおむね撤去する」としていますが、私有地内のがれきの撤去はまだごく一部の地域で始まったばかりで、その多くが手つかずのままです。

(写真:震災から2か月後の南三陸町の志津川地区。道路のがれきの撤去行われたが、住宅があった民有地ははがれきが山積している。)

20110511志津川中学校からみた南三陸町.jpg


さて、住宅が全壊した場合には、希望者は仮設住宅に入ることになります。
他方、仮に整地作業が済んだとしても、南三陸町の志津川など被害が甚大な県内の5つの市町村の市街地では、無秩序な乱開発などを防ぎ、計画的に町の復興を行っていくために建築制限がかせられており、建物の新築を行うことは当面できません。

住宅が大規模半壊の場合についても、大抵の場合は仮設住宅に入居することができますが、建築制限地区内では、建物を改築(建築物を災害で滅失した後、従前と規模・構造が著しく異ならないものを造ること。)や、増築(既存の建築物の面積を増加させること)することは当面できません。

これらに満たない一部損壊の場合は、制限地区内であっても、建物の修繕工事や補修工事は行うことできますが、仮設住宅に入ることはできません。仮設住宅は、被災地の誰もが入居できるわけではなく、以下の要件に該当する場合に限られているのです。
(1)住家が全壊、全焼又は流失した方
(2)居住する住家がない方(道路が寸断され生活を営めない方や、危険な状況が続き、自宅に戻れない方など周囲の状況等により仮住宅を必要とされるなど、震災により長期間にわたって自宅に戻れない特別の事情がある方を含む。)※修理、補修のための仮住居としては入居できません。
(3)自らの資力をもってしては他に居住できる住家を確保できない方

これらの方々の中には、修繕工事を行って安全確認が取れないと自宅に居住することができず、一時的な住みかに困っている方がいらっしゃいます。

私たちはこのような行政の手が行き届かないところをどう支援し解決するか、検討する必要があると考えています。具体的には、現在、トレーラーハウスやコンテナを一時的な住宅利用として導入する計画を進めており、来月初旬から設置・利用できるように調整中です。