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アジアに展開する

2014/05/22

【アジアパシフィックアライアンス】日本の経験をASEANに共有、7か国13人が東京・東北研修参加

「ここも津波が襲ったエリアですか?」―。土地のかさ上げ作業が行われ、大型車と重機が行き交う被災地の沿岸部。海外から初めて東北を訪れた男性は津波による被害が広範囲に及んだことを目の当たりにし、驚いた表情を浮かべていました。

男性は、ASEAN各国と災害情報を共有し、緊急対応の調整を担うASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)研修生の1人。今年1月に各国の防災拠点職員がAHAセンターにて6カ月にわたる研修「AHAセンター・エグゼクティブ・プログラム(ACEプログラム)」が始まり、ASEAN7カ国から13人が研修生として参加しています。

20130513総理官邸世耕官房副長官表敬訪問.jpg

このACEプログラムの一環で5月12日から17日までの6日間、日本での研修が行われ、Civic Forceと一般社団法人アジアパシフィック アライアンスが研修生を受け入れました。東京では総理官邸にこうひろしげ内閣官房副長官を表敬訪問したほか、復興庁での講義やアジア各国から災害支援のリーダーが集う国際シンポジウムへの出席、東北では宮城県気仙沼市を訪れ、菅原茂気仙沼市長の表敬訪問、仮設住宅、現地NPO法人の事業地などを視察しました。

IMG_0036.JPGこのうち気仙沼市では、一般社団法人気仙沼復興協会(KRA)の協力を得て、気仙沼鹿ししおり地区の高台にある鹿折中学校を訪問。グラウンドにはたくさんの仮設住宅が立ち並んでいます。「1000年に1度と言われる誰も予想していなかった大きな津波により甚大な被害を受けました」―。仮設住宅に住む小野寺良男さん(78)が気仙沼市の地図を示しながら被害状況を説明しました。自身も津波により家を失い、震災から3年以上が経った今も仮設住宅で暮らしています。「はじめは2年しか住めないと言われていましたが、思ったよりも長引いています」と話し、震災後、アジア各国からも支援を受けたことについて「世界中の方々の支援によって私たちは支えられています」と研修生たちに感謝を示していました。

AHAセンターのスタッフ、リリン・ハリヤニさんは「インドネシアでも2004年に大きな津波を経験しました。つらい経験を話していただきとても感謝しています。災害は世界中のどこでも起こり得るものです。みんなが手を取り合って一つになって協力していけるよう私たちも頑張りたいです」と話していました。

IMG_0277.JPG東北視察2日目は気仙沼市役所庁舎を訪問しました。気仙沼市によると、同市は津波により1041人が死亡し229人が未だ行方不明となっています。菅原すがわらしげる市長は「アセアン諸国、日本において多くの人命が失われているのは戦争ではなく自然災害です。私たちの経験を共有し、次の災害で被害を最小限に抑えることが大切だと考えます」と研修生たちに語りかけました。研修生たちは、防災の取り組みや被災状況、震災時の民間団体との連携、震災後の防災の取り組みなど担当者から説明を聞き、「被災者と行政のギャップをどう埋めているか」、「子どもたちへの防災教育はどのように行っているのか」など様々な質問が相次ぐなど研修生の関心の高さが伺えました。

バスに乗り込み、気仙沼市や岩手県陸前高田市の沿岸部を移動する車中、窓の外には広大な更地が広がっています。「津波はどこまで到達したのですか」「かさ上げした土地の上には何ができるのですか」「防潮堤には賛成ですか、反対ですか」など研修生たちは被災地の風景をカメラに収めながら問いかけてきました。6ヵ月間の研修を終えると研修生たちは皆それぞれの国に戻り、防災を専門とする「防災のリーダー」としての活躍が期待されています。Civic ForceとアジアパシフィックアライアンスではASEAN各国での災害時に迅速な救援活動が展開できるよう、引き続きAHAセンターと協力し各国の防災能力の強化に努めていきたいと考えています。

IMG_0672.JPG「災害マネジメントのスペシャリストに」

サリヒン・アヌア(マレーシア、33) セキュリティーセクレタリー 

「今回の研修を通して震災からこれまでの日本の経験を学ぶことができました。財政能力、コミュニティの持つ力。これらにより、日本は災害が起きても立ち直ることができているのだと感じました。また日本では地域のリーダーが政府に強く働きかけているという印象を受けました。コミュニティの持つ力はその地域の復興を後押ししていることを知りました。研修を通して学んだことを活かし、将来災害マネンジメントのスペシャリストになりたいと思っています」