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被災地を支援する

2013/06/26

【NPOパートナー協働事業】まちの一体感、生み出す「気仙沼ゑびすプロジェクト」

変わる被災地のニーズにより広く対応するため、2011年4月から続けてきたCivic ForceのNPOパートナー協働事業前回に続き、「気仙沼ゑびすプロジェクト」や「防潮堤を勉強する会」など、地域の中長期的な復興を見据えて多様な活動を展開する、スローフード気仙沼についてご紹介します。

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商売繁盛や家内安全、豊漁の神様として知られる「えびす様」。一般的には、右手に釣り竿、左手に鯛を持ち、どっしりと座す姿を思い浮かべますが、漁業のまち、宮城県気仙沼市では、二本足で立ち威勢よくカツオを釣り上げる、一風変わったえびす神がおなじみです。気仙沼の「立ちえびす」は、かつて気仙沼を訪れた旅商人が持ち込み、「立ちえびす、この家めがけてきたえびす、浜は大漁、オカは万作」とめでたい詩を詠み、これを聞いた地元民が商売繁盛の守り神にしたと言われています。

気仙沼では、震災後、この立ちえびすの看板が市内のいたるところで見られるようになりました。仕掛け人は、震災前から気仙沼の『食』を中心としたまちづくりの活動を展開してきたスローフード気仙沼。若手経営者や行政職員、各種団体の代表、飲食店、魚店、八百屋の店主など多方面で活躍中の個人会員で構成されるスローフード気仙沼は、震災後、この立ちえびすをシンボルに、地域の人々が一体感を持って立ちあがろうとの思いを込めた「気仙沼ゑびすプロジェクト」を開始しました。

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プロジェクトでは、これまで地域づくりに関わったことのない地域のメンバーも参画し、市内の飲食店や復興商店街など56店舗(2013年6月1日時点)にえびす様が描かれた統一看板を掲出。各店舗でステッカーや「気仙沼ゑびすTシャツ」の販促、店ごとのキャンペーンなどを展開し、ばらばらになりがちだった地域の人々の“横の連携”強化に努めてきました。今後は、「気仙沼ゑびす」の認知度をさらに上げるため、回遊性を高めるポイントラリーキャンペーン、気仙沼ならではのイベントなどを実施していく予定です。自然に対する畏敬の念が擬人化・神格化されたとも考えられてきたえびす像。プロジェクトには、「忘れられつつある自然に対する畏敬の念を再認識し、三陸海岸部で暮らす私たちが、改めて自然や海とのかかわり方を考えたい」との思いも込められています。

また、スローフード気仙沼では、2012年11月に震災前の気仙沼の記憶を将来にわたって共有できるようにと「まるかじり気仙沼ガイドブック 復刻版」を出版。今年6月末には、約150店舗の写真やメニュー、場所などの情報を検索できるウェブサイト「まるかじり気仙沼飲食ガイドWeb版」をオープンしました。スローフード気仙沼・事務局の佐藤幸宏さんは、「情報収集・原稿作成にあたっては、地域内外の大勢の協力があった。たくさんの人の熱い思いが詰まったホームページを見て、地域の魅力を見直したり、外から来る人のガイド情報として活用してほしい」と話しています。

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このほか、スローフード気仙沼は、地域の人々の大きな関心事項の一つである「防潮堤」について市民が話し合う場を提供するため、「防潮堤を勉強する会」を主導。昨年秋に市民が防潮堤計画見直しの要請書と署名を提出するなど、地域の人々が地域の将来を主体的に考え、行動していく機会を作り出してきました。

Civic Forceは、このように被災した地域の中長期的な復興を主導してきたスローフード気仙沼の地道な取り組みに賛同し、NPOパートナー協働事業の枠組みでサポートを続けてきました。そして、6月からは、気仙沼えびすプロジェクトの加盟団体の一つとして、引き続き、地域の復興まちづくりを後押ししていきます。