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【能登半島地震から半年】 被災地と被災地をむすぶ「NPOパートナー協働事業」

今年1月の能登半島地震から6カ月。ライフラインの復旧や被災建物の解体が遅れ、復興への道のりが全く見えない地域が多くあります。5月20日には石川県輪島市門前町の仮設住宅で1人暮らしをしていた70代の女性が亡くなりました。災害関連死の認定を求める遺族からの申請は、認定された人も含めると、これまでに少なくとも207人にのぼると言われます。

これ以上の「災害関連死」を防ぐために私たちにできることはなんでしょうか。Civic Forceは発災後、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の一員として、能登半島最北端の珠洲市などに入り、行方不明者の捜索・救助や物資支援を通じた避難所運営のサポートなどに尽力しました。そして現在は被害の大きかった奥能登地域4市町や七尾市、金沢市などで活動する4団体と連携して支援を行っています。

一人一人に寄り添い孤立を防ぐ

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「30年前の阪神・淡路大震災後、多くの人が孤独死で命を落とした。地震で助かった命なのに誰にもみとられず亡くなっていくのはとても無念。同じ過ちを繰り返したくない」。

こう話すのは、阪神淡路大震災をきっかけに立ち上がった神戸のNPO、被災地NGO恊働センターの村井雅清さん。阪神・淡路大震災では、発災から5年で250人以上が孤独死で亡くなったと言われ、その教訓を生かすべく全国各地の被災地で活動してきました。今回の能登半島地震でもいち早く七尾市の避難所などに入り、困り事を聞きながら避難生活を支える支援を展開。現在、輪島市や穴水町などの被災住宅を一軒一軒訪問して被災後の状況を聞いたり、集会所などで被災者の話を聞く「足湯隊」を派遣して課題解決につなげたりなど、一人一人に寄り添った支援を続けています。

©︎BIG UP石巻

また、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市から奥能登に入ったBIG UP石巻は、「移動手段がなくて困っている」という被災者のニーズに答えるため、車での送迎支援を継続中。加賀、小松、白山、高岡、金沢など被災地から離れて二次避難を続ける人が、輪島や珠洲などへ移動したり、みなし仮設住宅と被災した家を行き来したりなど、個々の要望に寄り添った支援を行っています。4月の開始から今日までに送迎した人の数は延べ100人以上にのぼり、増え続けるニーズに応えるため、BIG UP石巻では災害の影響で仕事を失った人も雇用し、定休日を設けるなどして、安全かつ持続的に送迎できる体制を整えています。

「目的地にたどり着くまでの間、皆さんの困りごとを聞きながら、東日本大震災の際の支援を通じて得た知識で相談に乗ったり助言をしたり、ただ車に乗せて送るだけではない時間を過ごしています。雪で路面が凍結してしまう次の冬が来る前に、あと何人が帰還できるのか、もともと高齢の方が多いこの地域で人口が減れば消費も落ち込み、コミュニティは崩壊し、地震前よりもっと住みにくい街になってしまいます。1人でも多く、故郷に帰れるようなきっかけをつくれたらと思って活動しています」(BIG UP石巻)

つながりの力で元気を届けたい

©︎北陸学院大学

被災した地域の人手不足が深刻な課題となる中、金沢市にある北陸学院大学被災地支援センターでは、発災後、学生ボランティアを被災地に派遣し、避難所や被災者の自宅の清掃や写真洗浄、仮設住宅でのサロン、子どもたちの居場所づくり、金沢近辺での二次避難者向けサロンなどさまざまな活動を続けています。

「被災地のために何かしたい」と願う全国の大学生と被災地を結ぶハブ機能の役割を果たしてきましたが、中心になって活動するのは東日本大震災や熊本地震などで支援活動に携わってきた田中純一教授です。「学生を被災地に派遣し、不足しているマンパワーを補うことで継続的な支援体制を構築し、地域の活力につなげたい」と学生を派遣。特に5月のゴールデンウィークには関西や金沢の大学などから延べ100人以上を輪島市の門前町深見地区に派遣し、被災した家屋の片付けなど地区全戸のニーズに対応するなど住民から信頼を得ることができました。バラ園の修繕など人々が集まる場所の復旧にも尽力し、仮設住宅への入居が進む中で、今後は集会所などのパブリックスペースで交流イベントを実施し、孤立を防ぐ取り組みを進めていきます。

©︎Cafe Cove

また、珠洲市で被災し金沢に避難中のカフェ「Cafe Cove」店主らが開始した「小さなCoveプロジェクト」では、「避難している人たちが集まれる場をつくろう」と金沢駅前で小さなカフェを運営しています。

過去の災害においても、二次避難者や広域避難者の所在の把握は難しく、支援に結びつきづらく孤立してしまうという課題がありました。小さなCoveプロジェクトでは2次避難を余儀なくされている人などが集まり、手づくりの体に優しい食事を楽しみながら、避難生活で抱える不安や悩みを共有し、生活再建を考える活力になっています。5月からは、駅前まで足を運べない避難者のために、金沢市で7日間にわたって出張「小さなCove」を展開し、延べ183組284人が訪れました。「能登の人たちは発災後、今まで顔を見合わせて共にこの大きな困難を乗り越えようとしていましたが、二次避難で外に出た途端、みんなばらばらになってしまいました。急に不安が押し寄せてきて吐き出す場所がない中、小さなcoveプロジェクトでは、能登の人々が再会と無事を喜び、顔を見合わせてみんなが笑顔になる居場所になりたい」と活動しています。



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マンパワー不足が顕在化し、人口減少が続く日本の災害対応に大きな課題を突きつける能登半島地震。先が見えない被災地の現実を前に、災害支援団体として私たちに何ができるのか模索する日々ですが、引き続き地域の復旧・復興を牽引する担い手との協働を軸に支援活動を続けていきます。

引き続き、皆さまのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。

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