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活動報告

被災地を支援する

NPOパートナー協働事業

2012/01/27

女性たちの命綱「パープル・ホットライン」――協働パートナー紹介

 

Civic ForceのNPOパートナー協働事業として、DV・性暴力被害を受けた女性や子ども、外国籍の女性が安心して相談できるフリーダイヤルを運営する「全国女性シェルターネット」。被害者をサポートするとともに、被災地で増えるDV・性暴力被害をなくすため、長年にわたって培ってきたノウハウとネットワークを生かして活動しています。

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「停電で暗闇の中、過去に受けた性暴力のフラッシュバックに悩まされている」「被災後に失業した夫が暴力をふるうようになり、狭い仮設住宅では逃げる場所もない」――宮城、福島、岩手の3県にある全国女性シェルターネットワークの事務所には、ほぼ毎日、ときには深夜にも電話がかかってきます。

被災地では今、震災で職や居場所を失い、心の不安やストレスを抱える被災者が増えており、そのはけ口として暴力の矛先となってしまう被害者がいます。震災後、夫やパートナーなどからのドメスティック・バイオレンス(DV)や性暴力の被害を受けた女性の数は、増え続け、2011年4月~12月までにパープルホットラインに寄せられた被災女性相談件数1万3,854件のうち、約43%がDV関連の相談となっています。

そうした被害女性たちの命綱の役割を果たしてきたのが、Civic Forceのパートナーである全国女性シェルターネットです。1998年の設立以来、DVの被害にあった女性を受け入れる「民間シェルター」のサポートを続けてきた同団体は、全国に100以上ある民間シェルターのネットワークを生かして、DV防止法の改正や被害女性からの電話相談、相談員の育成、シンポジウムの開催など、女性に対する暴力をなくすための運動を精力的に続けてきました。

震災後、活動の一つである電話相談の数が急増し、その多くは東北の被災地からでした。そこで、4月10日に被災地専用のDV・性暴力フリーダイヤル「パープル・ホットライン」を開始。24時間どこからでも、人に知られずに無料で電話相談できるホットラインを開設しました。具体的には、東北3県2カ所に事務所を開設し、常時2人の担当者を配置して電話相談を受けます。緊急ケースであると判断したり、生命の危険が心配される場合は、東京・本部の全国女性シェルターネット事務局とスーパーバイザーが危機対応の判断をし、必要に応じて警察やDVセンターと連絡を取る仕組みになっています。

例えば、岩手県で被災し秋田県に避難していたある女性は、避難先でセクハラに合い、加害者の嫌がらせによって自由に外出できず、避難場所を変えたいと相談してきました。その際、相談員は東京の事務局に報告。事務局は直ちに岩手県の災害対策本部と盛岡市の男女共同参画担当部署に連絡し、特例措置として盛岡市内の避難先に移ることができました。このように全国女性シェルターネットは、病院や警察、都道府県DVセンター、精神保健福祉センターなど多岐にわたるネットワークを通じて被害者の抱える問題を解決してきました。

近藤恵子事務局長は「当団体の役割は、被災者もしくは相談をしてきた女性と、各問題の受け皿となる機関や専門家とをつなぐことであり、いかに適切な場所、人へつなげられるかが腕の見せどころです」と話しています。

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(2011年11月に実施されたシンポジウム「災害を乗り越えて」の様子)

 

次回は、「パープル・ホットライン」のもう一つの特徴である、外国人対象の電話相談についてご紹介します。