2020/09/17
前回に続き、Civic Force東日本大震災支援事業のパートナー「311受入全国協議会」の取り組みを紹介します。
311受入全国協議会に加盟する「YWCA活動スペース カーロふくしま」(公益財団法人日本YWCAの東日本大震災支援拠点、福島市)では、横浜と神戸、函館、名古屋の全国4カ所(名古屋は2019年度まで)で、「セカンドハウス」と呼ばれる家族滞在型の保養プログラムを通年で続けています。放射線の心配から離れ、家族単位でゆっくりとした時間を過ごせるプログラムが特徴で、2019年度には計23家族・73人が利用しました。カーロふくしまの佐藤純子さんから届いた報告書(2019年度版)には、福島で悩み、戦いながら生きている親子の葛藤と、セカンドハウスのような保養活動の意義を深く理解できます。セカンドハウス参加者の声をご紹介します(一部抜粋・編集しています)。
あの時何が? 後になって気づいて保養へ「震災当時、原発の知識がなく、避難もせず福島にいましたが、後になって、どんなに恐ろしいことが起きていたか、だんだんわかってきて後悔の日々です。子どもの健康が心配です。でも家の事情や金銭的な問題で二重生活や移住はできません。福島では「この食材は大丈夫か」「ここは線量が低め」などいつも放射能のことが頭にありますが、セカンドハウスでは母子3人思いっきりリフレッシュできました。戻ってまたがんばろうと思えました」(横浜セカンドハウス参加者)
「これからも保養は必要です」「原発事故のとき、息子は3歳。今は元気ですが、これから10年先、20年先も大丈夫か、不安があります。国も県も復興にばかり力を入れ、保養へのサポートをしてくれません。放射線量の高いところで生活しているからこそ保養は必要です。それを理解してもらえない環境になっていて、「保養は復興の妨げ」という方もいます。セカンドハウスを利用できて本当に私たちは幸運です。これからも継続してほしいです」(神戸セカンドハウス参加者)
太陽の光はあたたかい
「セカンドハウスに5泊6日滞在中、久しぶりに洗濯物を外に干しました。福島では部屋干しですが、乾いた洗濯物が太陽の光であたたかくなっていて、外干しってこんなに気持ちよかったんだ、と思い出しました。息子はよく話し、よく食べ、よく笑いました」(名古屋セカンドハウス参加者)
子どもたちの尿からセシウム「保養でお世話になった皆さんの明るさに助けていただきました。「おいで」と言ってくださり嬉しかったです。放射能との戦いはもう8年になりますが、子どもを連れて移住したい気持ちはずっと変わりません。2019年から子どもの給食における地産地消を増やすことになりました。福島の農家を応援する目的ですが、子どもたちの尿からはセシウムが検出されています。チェルノブイリの被害者へ医療支援をしてきた医師は、セシウム心筋症という病気があると伝えています。私のまわりでは最近、中学生や知人など複数が心不全などで急に亡くなり、セカンドハウスは失意の中で、私を救ってくれました」(函館セカンドハウス参加者)