災害支援のプロフェッショナル Civic Force(シビックフォース)

HOME 活動報告 被災地を支援する 【7月豪雨】被災地復興のキーパーソンを探す「日本版 POSCOプロジェクト」ーNPOパートナー協働事業

活動報告

被災地を支援する

2020/08/26

【7月豪雨】被災地復興のキーパーソンを探す「日本版 POSCOプロジェクト」ーNPOパートナー協働事業

九州をはじめ各地に甚大な被害をもたらした「7月豪雨」から約1カ月半。政府は25日、一連の被害を「激甚災害」と指定し、復旧工事に加え、感染症の予防事業の予算を引き上げる決定を発表しました。他方、被災地では、新型コロナウイルスの影響で復旧・復興支援に不可欠なボランティアが不足しています。家屋や田畑に入り込んだ泥の撤去、梅雨に繁殖したカビの清掃・消毒、罹災証明や住宅再建のための手続きなど、被災した人々の前にはたくさんの課題が山積みです。高齢者が多い集落などでは、未だ手付かずの家々が大半、という集落もあります。

スクリーンショット 2020-08-26 13.37.38.png

「コロナ禍で起きた“複合災害”。これほど制約がある状況は過去に例がない」。こう話すのは、阪神淡路大震災以降、25年にわたって全国の被災地の復興支援に携わってきた被災地NGO恊働センターの村井雅清さん(写真中央)です。発災後、つながりのある芦北町や水俣の知人、いち早く人吉市に入った新聞記者などあらゆるネットワークを通じて被災地の状況を収集。発災から数日後に、拠点とする神戸から、まず熊本県南部の球磨村に入りました。21区・79集落に人口3400人ほどが暮らす球磨村は、氾濫した球磨川の濁流にのまれ、多くの集落が孤立。陸路での支援が入れず、シビックフォースが参画する「空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”」のヘリで救出された住民の方もいました。発災から1ヶ月以上が経過して、やっと孤立が解消された集落もあるそうです。

村井さんは、特に被害が大きかった地区の一つ、渡(わたり)区の区長らとともに被災した集落をまわり、被災の状況を確認しました。また、球磨村以外にも人吉市や八代市、水俣市、宇土市などの被災地を巡りました。

「歩き回りながら探すのは、“POSCO(ポスコ)”です」ーー。

村井さんがいう「POSCO」とは、災害が多いインドネシアの言葉で、災害時に立ち上がる支援拠点や詰所のこと。被災者を中心に自然発生的に生まれ、主体的に地域の復旧・復興を下支えしていくという特徴があります。「POSCO」という言葉を聞きなれない人が多いかもしれませんが、日本でも大規模災害時には、各地で被災住民が集い助け合うPOSCOのような場が生まれていました。シビックフォースでも、東日本大震災や西日本豪雨などで、公的な避難所支援と合わせて、津波で流された地区に生まれた小さなコミュニティサロンや、避難所に入れない在宅被災者への支援を続けるNPOなどへの支援を行いました。各拠点では、内外から寄せられる物資の配布や炊き出し、ボランティアのほか、復興勉強会やお祭り、サロンが行われるなど、地域内外の人々が集う場となってきました。発災直後からのこうした動きは、人口減少や集団移転など被災した地域が長期にわたって直面する課題に、より多くの人が向き合うきっかけを与え、地域の衰退を食い止めるカギになることもあります。長期的な復興を見据えた活動の中には、行政とのつなぎ役を果たす動きも見られました。

スクリーンショット 2020-08-26 13.37.17.png

「コロナ禍で県外からのボランティア活動の受け入れが限定的とならざるをえないなか、地域住民による自発的な活動がこれまで以上に求められています。被災者にとって、支援者にとって、自治体・役場にとって、誰もが初めての経験をしていますが、本来、地域の復旧・復興を担っていくのは地域住民です。私たち支援者は、その基本に立ち返って、被災した地域の将来を見据えた支援をしなければなりません」。

こう強調する村井さんとともに、シビックフォースは、8月からNPOパートナー協働事業「被災地の迅速な復旧のための日本版”POSCO“支援プロジェクト」を開始しています。被災地で活動する被災者グループや、自治会・自主防災組織、寺、商店街、組合、NPOなど地域で主体的に活動する7〜10グループへ、災害支援活動を実施するための資金をサポートし、同時に過去の災害事例などを紹介しながら、地域の復旧・復興に役立ててもらう計画です。

限られた予算のなかで、誰(どこ)に資金を託せば、最も有効に被災地の復旧・復興に生かすことができるのか。私たちはこれまでもこの命題について考え続けてきましたが、各地の復旧・復興をサポートしてきた村井さんにも、地域のキーパーソンを探し出すための経験とネットワークがあります。今回の協働事業では、そんな村井さんとともに、外からは見えにくく孤立しがちな在宅被災者へのサポート、女性目線で地域社会を見据えた活動、取り残されがちな子どもたちの心のケアなど、さまざまな視点で被災地の復興を担うキーパーソンを支援しています。

次回は、「日本版POSCO」の拠点から地域の皆さんの声をお伝えします。なお、被災地NGO恊働センターでは、7月豪雨で甚大な被害を受けた大分県日田市でも、被災地の復興をサポートしています。くわしくはこちら

スクリーンショット 2020-08-26 14.06.21.png

※   POSCO:インドネシア語で「POS」は拠点、「KO」は軍隊を意味し、元々は軍の前線基地に由来している。その後、「KO」の解釈がコミュニーションやコーポレーションへと広がった。被災者がつながりあった小単位の助け合いで、誰もが設置できる。拠点としての空間でもあり、そこで活動する組織そのものを指す場合もある。インドネシア政府は2009年のスマトラ島沖地震の際に、支援体制を一元化するために個人やグループ単位でのポスコの設置を規制したが、被災地では自然発生的にポスコが設置され、結果的に政府と協働する形で、被災者の復興を支えた。(本塚智貴/明石工業高等専門学校 建築学科助教)