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東日本大震災を振り返る

【Vol.05】静岡県袋井市(後編)

 2012/08/09

袋井市役所 総務部防災課  課長 山本季男さん、防災アドバイザー 永田進さん(左)

袋井市役所 総務部防災課  課長 山本季男さん、防災アドバイザー 永田進さん(左)
東海地震による被害を想定し、静岡県のなかでも特に「減災」の取り組みに力を入れる袋井市は、東日本大震災発生直後、Civic Forceと連絡を取り合い、いち早く被災地へ向かいました。現場で中心となって活躍した防災アドバイザーの永田さんと防災課長の山本さんに、東日本大震災の緊急支援について振り返るとともに、今後の教訓について語ってもらいました。
「心構えはできていた」
東日本大震災発生後、いち早く連絡を取り合って被災地への物資配布などに協力いただきました。当時、市役所内ではどんな決定、判断がなされたのでしょうか。
(永田)2011年3月11日、あのときは、ついに東海地震が来たかと思いました。緊急地震速報の警報機がたびたび鳴り響き、袋井は震度4でした。地盤が脆弱なことから袋井市では震度4で災害対策本部を設置することになっているため、発生後直ちに対策本部と19の支部を立ち上げました。各支部では合わせて154の自主防災隊が各担当エリアの建物を点検し、当日17時頃にはすべての地域からの被害調査報告を受け終わりました。その後すぐに、市長が「袋井は何もなかったが、これから被災地支援に行く」と東北へ向かうことを決めました。

向かう先は、Civic Forceの根木事務局長と電話で協議をして、まずは袋井市の倉庫に備蓄してあったCivic Forceの物資を、栃木県結城のヘリポート(http://www.civic-force.org/preparedness/preparedness-820.php)へ運ぶことに決めました。すでに袋井市と災害時の支援協定を結んでいた栃木の大田原市などへも応援に行きました。

(山本)3月12日の早朝、トラックにバルーンシェルターや食糧などの荷物を積んで私を含む6人の市職員が陸路で向かいました。途中、由比で大津波警報により東名が通行止めで、清水の手前が大渋滞になり抜けるのに4時間もかかってしまいましたが、清水からのインターチェンジ以降は、市の「災害支援パスポート」があったので、緊急車両として移動することができました。その後もCivic Forceに対し、ヘリコプターの燃料手配やテントの搬送、タオルやお茶の提供などを行いました。
その後も独自に宮城県岩沼市や岩手県釜石市を支援するなど、その動きは行政の中でも群を抜く速さでした。
(山本)岩沼市と釜石市では、これまでつながりのあった地域ということで支援を開始しました。釜石市では袋井市の職員が、4月から避難所に入り閉鎖する夏まで、食事準備の支援などを行い、このほか、岩沼市をはじめとして東北各地へ給水や炊き出し、看護・医療、健康調査、消防救急、行政事務など多方面で支援を続けました。避難所運営などの仕組みはすでに被災地の市職員が作り上げていて私たちはそれをサポートする形で支援していましたが、避難所の運営は頭の部分が大事だということを改めて認識しました。
東日本大震災を振り返ってどんな教訓が得られましたか?
(永田)Civic Forceとは、これまで防災訓練などで協力してきましたが、東北では実践が頭にあるとないとでは全然違うことを確認しました。市長がよく「現場に行って勉強してこい」と言いますが、能登や中越沖地震でボランティアや視察に参加した職員は皆、危機感を強く持つようになっています。今回も、戸惑ったり躊躇することなくいち早く出動することが当然、という意識が根付いていたと思います。東北では「まずは生き残ること」が大切だと感じました。生きていてこそできることがあり、袋井市では、そのための市民や自主防災隊への補助金も他の自治体以上に予算化していますが、あらゆる取り組みの原点は、今の市長にあります。就任時、袋井の被害想定の数字などを説明したところ、すぐに対策を強化しようと、公共施設の耐震化を一番最初に県内で整備し、以降、ハードの設備の充実と並行して、各自治会がそれぞれの対策を練る仕組みをつくり、毎月の点検なども続けてきました。震災後は、こうした取り組みをさらに強化する機運が再び高まっていて、地域それぞれの課題を洗い出し、「市に要望すること」と「自分たちでやれること」の棲み分けの作業を行いました。

(山本)今年9月1、2日に実施する防災訓練では避難所宿泊訓練などに新しい内容を取り入れて、さらに現実的なシミュレーションのもとでの訓練を予定しています。夏までに地域防災対策会議などを開きましたが、安否確認の方法など各地域が抱える課題に対する対策をみんなで話し合って、訓練でより具体的に解決していこうと考えています。
Civic Forceへの期待とは。
(永田)震災時には、スピード感を持ち、臨機応変に動ける柔軟性が必要ですが、国や行政の現状の仕組みの枠だけではなかなか動きづらい面もあります。そうしたなかCivic Forceとは「電話一本で動ける関係」ですが、連携協定を結んだのは、やはり「早く動きたい」という気持ちを具現化するためです。煩雑な手続きやしがらみをくぐっているうちに、取り返しのつかないことにならないよう、迅速に動く民間との連携が不可欠と判断したのです。今回の東北の支援でもCivic Forceとの連携があってこそすぐに動けた面もあり、今後は、緊急時のシミュレーションをより具体的にし、人材の交流なども図っていけたらいいですね。
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上から順に①山本さん、②永田さん、③袋井市とCivic Forceとの勉強会の様子、④袋井市主催の住民防災集会で東北支援事業について説明するCivic Forceスタッフ ⑤2011年12月に開催された袋井市の地域防災訓練でCivic Forceはテントの設営講習を実施

袋井市長へのインタビューはこちら

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